理科:探究の理科
目標と養いたい力
科学的探究を通して,調査や計画を行う,仮説を立てる,1つの説明だけに終わらず別の可能性を探る,等のことに関して,批判的で創造的な思考を養う。他者の考えを理解して尊重することを学び,倫理的に優れたやり方で理論を展開させるスキルを身につけ,地域および国際社会の一員としての責任感をさらに発展させる。科学と,モラル・倫理・文化・経済・政治・環境などといった事柄が,お互いに刺激し合い,頼り合う関係性を発見する。
単位数
学年 | 科目名 | 時数 | 探究の問い | 主な学習内容 |
---|---|---|---|---|
1 |
化学基礎Ⅰ | 1 | 身の回りの物質 | 物質のすがた,水溶液,状態変化 |
生物基礎Ⅰ | 1 | 植物の共通点にはどのようなものがあるか? | 観察方法、光合成、植物のつくりとはたらき、分類 | |
地学基礎Ⅰ | 1 | 大地は変化しているのだろうか? | 火山,地震,地層,大地の変動 | |
2 | 物理基礎Ⅰ | 1 | 身近な物理現象 | 光と音,力と圧力 |
生物基礎Ⅱ | 2 | 生物とは何か?生きるとは何か? | 細胞のつくり,ミトコンドリア,呼吸,消化,刺激と反応,神経系 | |
未知の生物に出会ったとき,私たちはその生物をどのように分類するのだろうか? | 分類,脊椎動物,無脊椎動物 | |||
私たちが見ている世界は,みな同じなのだろうか? | 進化,ダーウィン,遺伝,メンデル,細胞分裂,生殖 | |||
私たちは,一人で生きていけるのだろうか? | 食物連鎖,環境保全,外来種 | |||
地学基礎Ⅱ | 1 | 天気はなぜ変化するのか? | 気象観測,大気中の水蒸気の変化, 前線の通過と天気の変化,日本の気象 | |
宇宙の中で地球はどのような存在なのだろうか? | 天体の1日の動き,天体の1年の動き,月と惑星の運動,太陽系と銀河 | |||
3 | 物理基礎Ⅱ | 2 | 見えないものを共有するためには,どのような表現をすればよいのか? | 力のつり合い,力と運動 |
私たちは,何を根拠に何を信じているのだろうか?信じたいものは,「正しい」のか? | 回路,電流,電圧,抵抗,静電気,電流がつくる磁界,電磁誘導,発電 | |||
私たちは,どのようにして「よりよい解」を見つけているのだろうか? | 仕事,力学的エネルギーの保存,エネルギー変換,エネルギー資源,エネルギー問題 | |||
化学基礎Ⅱ | 2 | 変わるものと変わらないものは何だろう? | 化学変化 | |
体系化して見えてくるものは? | 原子の構造,周期表 | |||
昔の人の知恵を学ぼう | 酸・アルカリと中和 | |||
4 | 生物基礎 | 2 | 生物とは何か? | 生物の多様性と共通性、細胞、エネルギーと代謝、光合成、呼吸 |
遺伝子はどのように機能するのか? | 遺伝子、DNA、遺伝情報の発現と分配、発生、遺伝子組み換え | |||
「自己」はどのように維持されるのか? | 体内環境、恒常性、腎臓と肝臓、神経、ホルモン、免疫 | |||
「景観」はどのようにつくられるか? | 植生、遷移、バイオーム | |||
人は生態系とどのように関わっているのか? | 生物多様性、物質循環、エネルギー循環、生態系のバランスと保全 | |||
地学基礎 | 2 | 大陸を動かす原動力は何か? | 地球の構造,プレートの運動,地震と地殻変動,火山 | |
生命はなぜ生まれ,どこに向かっているのか? | 地層の形成,古生物の変遷と地球環境 | |||
大気と海水の運動はなぜ起こっているのか? | 大気の構造,地球の熱収支,大気の大循環,海水の運動 | |||
地球温暖化は止められるか? | 環境と人間,地球環境問題,日本の自然災害 | |||
宇宙はどのようにして誕生したのか? | 太陽系の天体,太陽の活動,恒星の一生,恒星の明るさ,宇宙の構造,宇宙の誕生 | |||
科学と人間生活IM | 2 | 科学で身近な課題を解決するには? | 像解析フトを用いた生活科学の探究、科学的手法による課題解決 | |
5 | 物理基礎 | 2 | 運動を数値化するにはどうすればよいか? | 運動の表し方,力,運動の法則 |
音の速さを測定するにはどうすればよいか? | 波の性質,音 | |||
エネルギー問題はいつ解決するのか?それとも,解決することはないの? | 運動とエネルギー,熱とエネルギー,電流,電気の利用,エネルギーとその利用,物理学が拓く世界 | |||
化学基礎 | 2 | 化学とは? | 化学と人間生活,物質の探究 | |
見えない世界を理解する手段は? | 物質の構成粒子,化学結合,物質量 | |||
日常生活の中にある化学はどこ? | 酸と塩基,酸化還元反応 | |||
生物IM | 2 | ネットワーク分析の手法とは何か?自然現象とどのようにつながっているのか? | 生命とは,細胞,分子生物学,タンパク質の構造と機能,タンパク質工学 | |
6 | 物理 | 5 | 中庭の石の正体は? | 剛体のつり合い |
保存則とは何か? | 運動量の保存 | |||
複雑な現象や天体運動を物理ではどのように記述しているか? | 円運動と単振動,万有引力 | |||
エンジンの仕組みとは? | 気体分子の運動 | |||
光の正体は? | 波の伝わり方,音,光 | |||
場とは何か? | 電荷と電場,磁場と電流, | |||
生活で電気をどのように活用しているか? | 電流,電磁誘導と電磁波 | |||
宇宙は何からできているのか? | 電子と光,原子と原子核 | |||
化学 | 5 | もしも水が直線分子だったら? | 状態変化,気体の性質,固体の構造,溶液 | |
ピーナッツのカロリー測定の失敗を活かせるか? | 化学反応と熱・光エネルギー | |||
化学の応用とは? | 化学反応と電気エネルギー | |||
化学反応はどっちに進む? | 反応の速さとしくみ,化学平衡 | |||
青写真を作ろう | 無機物質 | |||
薬や鏡をつくろう | 有機化合物 | |||
カレーがおいしいのはなぜ? | 高分子化合物 | |||
生物 | 5 | 細胞はどのように活動しているか? | 細胞と分子 | |
エネルギーは生体内でどのように形を変えるか? | 代謝 | |||
遺伝子発現の機構 | 遺伝情報の発現とその制御 | |||
世代を超えた種お維持と多様な子孫が生まれるのはなぜか? | 生殖と発生 | |||
生体内の情報伝達と個体間のコミュニケーションとは? | 動物の反応と行動 | |||
個体数はどのように増減するのか? | 生物群集と生態系 | |||
進化はどのようにして起きるのか? | 生命の起源と進化 | |||
多様性を整理するための様々な視点とは? | 生物の系統 | |||
地学 | 3 | 地球の内部はどうなっているのか? | 地球の形と重力・地磁気,地球の内部 | |
山はどうしてできるのか? | プレートテクトニクス,地震と火山,変成作用と造山運動 | |||
地球の環境はなぜ安定しているのか? | 大気の構造と運動,海洋と海水の運動、大気と海洋の相互作用 | |||
地球にはなぜクレーターが少ないのか? | 地表の変化,地層の観察 | |||
地球の環境はどのようにして作り上げられたのか? | 地球環境の変遷,日本列島の成り立ち | |||
宇宙の果てはどうなっているのか? | 太陽系,恒星の世界,宇宙と銀河 | |||
地学基礎 | 2 | 大陸を動かす原動力は何か? | 地球の構造,プレートの運動,地震と地殻変動,火山 | |
生命はなぜ生まれ,どこに向かっているのか? | 地層の形成,古生物の変遷と地球環境 | |||
大気と海水の運動はなぜ起こっているのか? | 大気の構造,地球の熱収支,大気の大循環,海水の運動 | |||
地球温暖化は止められるか? | 環境と人間,地球環境問題,日本の自然災害 | |||
宇宙はどのようにして誕生したのか? | 太陽系の天体,太陽の活動,恒星の一生,恒星の明るさ,宇宙の構造,宇宙の誕生 | |||
物理基礎演習 | 1 | 私たちと物理の関わり | 物体の運動とエネルギー,様々な物理現象とエネルギーの利用 | |
化学基礎演習 | 1 | 私たちと化学の関わり | 物質の構成,物質と化学結合,物質の変化 | |
生物基礎演習 | 1 | 私たちと生物の関わり | 観察の手法、細胞、遺伝、免疫、生態系 | |
地学基礎演習 | 1 | 私たちと地学の関わり | 惑星としての地球,活動する地球,移り変わる地球,大気と海洋,地球の環境,宇宙の構成 | |
物理IM | 2 | 自然現象をモデルで表すと何が見えてくるのか? | タンパク質,ウィルス,変異 |
学習内容 (具体例・生徒の作品・活動の様子)
TGUISS理科では中学1年の段階から物理、化学、生物、地学の4分野に分かれ、それぞれを専門性の高い指導者が授業を行います。授業では,現代社会の課題や社会への応用について科学的に探究することを重視し,実験・観察や表現活動を多く行っています。自然現象の観察から課題を見出し,仮説を設定し,検証のための実験デザインを行い,実際に実験をして得たデータを分析し,表現する,といった一連の探究の過程を経験することで,生徒が探究の資質・能力を育むことも目指しています。さらに,英語によるプレ・イマージョン授業、イマージョン授業も実施されています。
また,3年生では沖縄で,4年生では筑波学園都市を中心とした研究施設等で,サイエンスフィールドワークを実施しています。フィールド調査を実際に体験することで,その意義や手法を身に付けるとともに,学校での理科の学びが最先端の科学研究とどのようにつながっているのかを学びます。
4分野のほかに、国際教養群の理数探究では、現代的テーマについて、教科学習による基礎に基づき、発展的な学習が行われます。
多様な進路に対応できる充実したカリキュラムを組んでおり、理学系、工学系はもちろん、医学系、薬学系、農学系他、多様な理系の進路に対応できる後期課程のカリキュラムが準備されています。
1年生
生物基礎Ⅰ:植物の構造・機能・多様性を捉える
植物の形態と機能について観察や実験を交えながら学習する。総括として紙モデル植物の作成を通して環境やエネルギーの制限が多様性に与える影響を体感しながら考察する。
2年生
生物基礎Ⅱ:未知の生物の分類
未知の生物(ポケットモンスター)について,その形態的特徴や生息地の環境などから,分類を行う。
3年生
化学基礎Ⅱ:古来の紅花染めを体験
紅花染めは紅花に含まれる赤色色素(カルタミン)と黄色色素(サフラワーイエロー)から,酸とアルカリの性質を利用して,赤色色素を抽出して染める染色方法である。紅花染めの過程を体験して,酸やアルカリへの理解を深める。
4年生
生物基礎:遺伝子組み換え実験
遺伝子組み換え実験を通して,遺伝子組えの概要や分子生物実験の操作方法等を学びながら,仮説の組み立てと検証を行う。
5年生
物理基礎:音速の測定の探究
波に関する知識・理解や,観察・実験の技能を活用して,空気中の音速を求める。探究の過程を一人一枚のポスターにまとめ,報告する。
6年生
生物:進化の探究
進化について,モデルを用いた進化プロセス実験を通して理解を深める。また,ICTを用いてアミノ酸配列データをもとに分子系統樹を作成し,生物種間の近縁について考察する。
3年生
沖縄ワークキャンプ サイエンスフィールドワーク
塩分濃度とマングローブの植生との関係や,ミナミコメツキガニの個体数調査などのフィールド調査を行い,現地でしか得られないデータを収集する。現地調査に加えて,事前学習や事後学習も行い,フィールド調査の意義やその手法を身に付ける。
4年生
サイエンスフィールドワーク